2026年、日本サッカー界はかつてない激動の時代の幕開けを迎えようとしています。Jリーグが30年以上の歴史の中で最大級の転換点となる「秋春制」へと完全に移行し、同時に北中米で開催されるFIFAワールドカップが目前に迫るこの記念すべき年。2025年に9年ぶりのJ1リーグ制覇を成し遂げた鹿島アントラーズが、どのような航路を描こうとしているのか、その展望を詳報します。
1. 2026年 クラブ基本データ
2025年、就任1年目で「常勝」の称号を奪還せしめた鬼木達監督のもと、2年目のシーズンは盤石の継続性を武器にスタートします 。
クラブ基本情報(2026年1月現在)
| 項目 | 詳細内容 |
| 所属ディビジョン | 明治安田J1リーグ |
| ホームスタジアム | 茨城県立カシマサッカースタジアム |
| 2026年指揮官 | 鬼木 達 (2年目) |
| 2025年最終成績 | J1リーグ 優勝 (9年ぶり9回目) |
| 2026年前半の予定 | 百年構想リーグ EASTグループ参戦 |
W杯代表候補・選出への期待
ワールドカップに向けた日本代表(SAMURAI BLUE)において、鹿島からは複数の選手が候補に挙がっています。J1連覇の立役者であり、国内組の守護神として評価の高い早川友基、守備の要・植田直通、そして攻撃の象徴である鈴木優磨の3名は、2025年のJPFAベストイレブンにも選出されており、代表入りへの期待が最高潮に達しています 。また、右サイドバックの濃野公人も、次代を担う有力候補として注目されています 。
2. 「明治安田Jリーグ百年構想リーグ」の展望(2月〜6月)
2月7日から開幕する「明治安田Jリーグ百年構想リーグ」は、秋春制への移行期間に開催される特別な大会です。昇降格こそありませんが、鹿島にとっては「王者の貫禄」を示しつつ、新シーズンへの準備を整える極めて重要な舞台となります 。
試練のグループ編成とスケジュール
鹿島は「EASTグループ」に所属。関東の強豪がひしめく構成となっており、ハイレベルな戦いが予想されます 。
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グループ構成(EAST): 鹿島、水戸、浦和、千葉、柏、FC東京、東京V、町田、川崎F、横浜FM
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開幕カード: 第1節(2/7 or 8) vs FC東京(アウェイ)
新戦力のフィット:静かな冬のオフと「試運転」
2026年の冬、鹿島のフロントは「主力の流出ゼロ」という驚異的な継続性を選択しました 。新加入は明治大学から加入した林晴己(MF)や藤井陽登(GK)、ユースから昇格した吉田湊海(FW)、元砂晏翔仁ウデンバ(DF)ら新卒組が中心です 。この半年間は、鬼木戦術をより深く浸透させつつ、若手たちがJ1の強度にどれだけ適応できるかを試す「試運転」の場となります。
PK戦ルールの導入:勝ち切るメンタリティの養成
今大会の目玉は、90分で決着がつかない場合に即座に行われるPK戦です。
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勝ち点配分: 90分勝利(3点)、PK勝利(2点)、PK敗戦(1点)、90分敗戦(0点)
「引き分け」が排除されるこのルールは、昨季の優勝で得た「勝ちグセ」をさらに研ぎ澄ます絶好の機会です。早川友基のセービング能力と、冷静なキッカー陣の真価が問われることになります 。
3. ワールドカップ中断期間と夏の変貌(予測)
6月から7月にかけて、Jリーグはワールドカップによる長い中断期間に入ります。秋春制においては、**この時期こそが「シーズン前のメイン移籍市場」**となります。
夏の移籍市場(最重要):欧州基準への適応
8月の新シーズン開幕に向け、この夏にスカッドが大きく動く可能性があります。欧州主要リーグとカレンダーが一致するため、主力の海外挑戦の可能性が高まると同時に、欧州からのビッグネーム獲得も容易になります。鹿島は冬の補強を最小限に抑えた分、この夏の市場で20代中盤の即戦力層を厚くする「大型補強」に動くことが予測されます 。
高地キャンプと国際親善試合
中断期間中には、8月開幕の「本番」を見据えたキャンプが計画されるでしょう。また、Jリーグワールドチャレンジ等の枠組みで欧州クラブをカシマに迎え、世界基準のインテンシティを肌で感じる機会も期待されます。
4. 2026/27シーズン(8月開幕)の展望
いよいよ8月から、日本のサッカーカレンダーは「秋春制」という新時代へ突入します。
掲げる目標とACLEへの挑戦
2025年のJ1王者として、鹿島はアジア最高峰の舞台「AFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE)」への出場権を既に手にしています 。8月から始まる新シーズンは、国内リーグの連覇とアジアの頂点、この二兎を追う過酷かつ名誉ある戦いとなります 。
プロA契約27名枠の撤廃とスカッドマネジメント
このシーズンから、長年クラブを縛ってきた「プロA契約27名枠」が撤廃されます。鹿島はこれを機に選手層を厚くするのか、それとも鬼木監督が得意とする「少数精鋭かつ高強度な練習」を維持するのか。柔軟な契約制度を活かした、新たなチーム編成戦略が注目されます。
5. 注目選手(W杯戦士 & 次世代スター)
帰還するヒーローと刺激を受ける主軸
ワールドカップを経験して戻ってくるであろう植田直通や早川友基は、チームに計り知れない経験値をもたらすでしょう。一方で、惜しくも代表を逃した鈴木優磨らが、その悔しさをぶつける「開幕ダッシュ」も見どころです 。
「U-21 Jリーグ」不参加と独自の育成
2026/27シーズンから創設される「U-21 Jリーグ」に対し、鹿島は不参加を表明しています 。これは若手を隔離せず、最初からトップチームの激しい競争に放り込むという鹿島の伝統的な哲学(ポストユース育成方針)によるものです 。
| 注目選手 | ポジション | 特徴 |
| 吉田 湊海 | FW | 2年連続プレミアEAST二桁得点のストライカー。新背番号30 。 |
| 元砂 晏翔仁ウデンバ | DF | 高い守備能力と配球力を備えた、近代的なセンターバック 。 |
| 林 晴己 | MF |
明治大学出身の即戦力候補。鬼木スタイルの体現を期待される 。 |
6. 2026年版 観戦のススメ
2月から始まる百年構想リーグは、真冬の戦いとなります。
「冬のスタジアム」攻略法
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座席対策: カシマのプラスチック席は非常に冷えます。折りたたみマットやクッションを持参しましょう 。
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究極の重ね着: 保温性の高いインナー(グンゼ等)の上に、風を通さないアウターを羽織るのが基本です 。
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マグマ活用: 通常のカイロより高温の「マグマ」タイプを腰や靴下に忍ばせるのがサポーターの知恵です 。
冬を彩るスタジアムグルメ
冷え切った体を温める「カシマの食」は、冬にこそ真価を発揮します。
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もつ煮: ネギたっぷりの定番に加え、最近は「トマトもつ煮」も人気です 。
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はまぐりカレー: 鹿島灘の恵みを感じる出汁の効いた一杯 。
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クラムチャウダー: 冬季限定、鹿島セントラルホテルの濃厚な味わい 。
結論:常勝軍団が描く「YOAKE」
1月5日に発表された百年構想リーグ限定のユニフォームは、これまでにない「ダークネイビー」を基調とし、テーマは「YOAKE(夜明け)」と名付けられました 。この深い紺色は、新たな秋春制という時代の幕開け、そして夜明け前の鹿島灘を想起させます。
2026年、鹿島アントラーズは伝統を背負いながらも、全く新しい景色を見ようとしています。ワールドカップを経て爆発するであろうサッカー熱を、カシマサッカースタジアムでどう受け止め、力に変えるのか。常勝軍団の新たな物語が、今まさに始まろうとしています。
補足:2026年 鹿島アントラーズ 確定メンバー(抜粋)
| 背番号 | 選手名 | ポジション | 2026年の注目点 |
| 1 | 早川 友基 | GK |
正守護神。代表選出とJ1連覇への鍵 |
| 55 | 植田 直通 | DF |
守備リーダー。W杯での活躍が期待される |
| 10 | 柴崎 岳 | MF | チームの精神的支柱。完全復活なるか |
| 40 | 鈴木 優磨 | FW |
2025年得点王。王者の魂を背負う |
| 30 | 吉田 湊海 | FW |
期待の超新星。プロ1年目のゴールに注目 |
※2026年1月21日現在の情報を元に構成。今後の移籍・負傷等の状況により変更の可能性があります。
