サッカー観戦中、「なぜ今のファウルでレッドカードなの?」と疑問に思ったことはありませんか?それ、もしかしたら「DOGSO(ドグソ)」かもしれません。これはサッカー特有のルールで、明らかな得点機会を不正に止めた場合に適用される非常に重要な反則です。
本記事では、初心者にもわかりやすくDOGSOの意味や適用される4つの条件、話題になった「三重罰」の内容まで徹底解説します。サッカーをもっと深く楽しみたい方、観戦レベルを一段上げたい方にぴったりの内容です!
DOGSOって何?サッカー初心者にもわかる基礎知識
DOGSOの正式名称と意味とは?
サッカーでよく耳にする「DOGSO(ドグソ)」という言葉、これは「Denying an Obvious Goal-Scoring Opportunity(明らかな得点機会の阻止)」の頭文字を取った略称です。つまり、ゴールを決める絶好のチャンスを、ルール違反でつぶしてしまう反則のことを指します。たとえば、相手選手がGKと1対1になりそうな場面で、後ろからタックルして倒した場合などが該当します。
DOGSOはサッカーの反則の中でも非常に重いとされ、判定されれば即退場(レッドカード)になることが多いです。特に、ペナルティエリア内で起こると、PK・退場・次節の出場停止と、いわゆる“三重罰”が科されることもあるため、プレーする側にとってはとてもリスクの高い状況です。
このルールはフェアプレーを守るために設けられており、意図的に相手の得点を防ごうとする反則に対して厳しく罰することで、クリーンな試合展開を保つ目的があります。少し専門的なルールですが、知っておくとサッカー観戦がより深く楽しめるようになりますよ。
なぜDOGSOがルールとして設けられているのか?
サッカーはゴールを奪い合うスポーツです。そのため、ゴール直前でのプレーは試合の流れを大きく左右します。もし守備側の選手が、反則してでも相手の決定的なチャンスを止めようとした場合、それを厳しく罰しなければスポーツとしての公平さが失われてしまいます。そこで登場したのがDOGSOというルールです。
DOGSOが導入された目的は、「明らかな得点機会を不正に阻止する行為を許さない」ことです。これはルールを守る選手を守るためでもあります。たとえば、全速力でゴールに向かっている選手が後ろからタックルされて得点できなかったとしたら、そのままスルーしてしまっては真面目にプレーしている側が損をする形になります。
また、DOGSOの存在によって、守備側の選手にも「無理なファウルは避けよう」という意識が働き、ゲーム全体の流れもスムーズになります。つまり、DOGSOはフェアプレーの精神と、観る側・プレーする側どちらにもメリットがある重要なルールなのです。
他の反則とどう違う?DOGSOの特別さ
サッカーには多くの反則がありますが、DOGSOはその中でも特に重い罰則が科される特別な存在です。たとえば、普通のファウルであれば注意(口頭注意)やイエローカードで済むこともありますが、DOGSOと判定された場合、レッドカードでの即退場が基本となります。
その違いを生む理由は、「プレーの結果に直結する重み」にあります。たとえば中盤でのファウルと、ゴール前での決定機を止めるファウルでは影響がまったく異なります。前者はまだチャンスが続きますが、後者は得点のチャンスそのものを失わせてしまいます。
また、DOGSOは「その場のプレー状況や選手の位置関係など、かなり複雑な条件」が絡むため、審判の判断がとても重要になります。普通のファウルとは違って、DOGSOは「意図的かどうか」や「得点できそうだったかどうか」まで考慮されるため、微妙な判定になることもあります。つまり、DOGSOはサッカーにおいて最も慎重に判定される反則の一つと言えるでしょう。
DOGSOが適用されるシーンの実例
DOGSOが実際に適用される場面には、いくつかの典型的なパターンがあります。たとえば、相手選手がディフェンスラインを抜けてゴールキーパーと1対1になりかけた時、後ろからユニフォームを引っ張ったり、足をかけたりして倒した場合などです。このようなプレーは、まさに「明らかな得点機会の阻止」にあたります。
他にも、GKがペナルティエリアの外で手を使ってボールを止める場面もDOGSOと判定されることがあります。なぜなら、ペナルティエリアの外では手を使えないため、ルール違反で得点を防いだ形になるからです。こうしたケースでは、レッドカードと直接FKが与えられるのが一般的です。
このようにDOGSOは、ゴールに直結するような重大なプレーで発生することが多いため、試合の展開にも大きな影響を与えることがよくあります。実際に適用された試合を観てみると、その重要性と緊張感がよくわかるでしょう。
過去の有名なDOGSO判定の紹介
サッカーの歴史には、印象的なDOGSO判定が数多く存在します。その中でも有名なのが、2010年のFIFAワールドカップ南アフリカ大会でのウルグアイ対ガーナ戦です。延長戦のラストプレーで、ガーナの選手がシュートしたボールをウルグアイのスアレス選手が手で止め、DOGSOによって退場となりました。このプレーは大きな議論を呼びました。
スアレスの行為はルール違反ではあるものの、チームを決勝に導くための“戦術的ファウル”とも見られ、賛否両論を巻き起こしました。このようなプレーはDOGSOのルールがなければ、より頻繁に起こり得るもので、ルールの重要性を再確認させる出来事でした。
また近年では、VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)の導入により、DOGSOの判定がより精密に行われるようになっています。これにより誤審の減少が期待されつつも、「本当にDOGSOだったのか?」という議論が尽きないのもまた、このルールの難しさと深さを示しています。
DOGSOが成立するための「4つの条件」
ボールの支配可能性
DOGSOが成立するかどうかの判断基準のひとつが、「攻撃側の選手がボールを支配できる可能性があるかどうか」です。これはつまり、ファウルを受けた選手がそのままプレーを続けていれば、ボールをコントロールしてゴールへ向かうことができたかどうか、という点が問われます。
たとえば、味方からのパスに追いついている途中でファウルをされた場合でも、もしそのパスが速すぎて追いつけそうにない場合、DOGSOと認められないこともあります。逆に、すでにボールを足元に収めていて、シュートの体勢に入っていたような場面では「明らかに支配可能」と判断されるため、DOGSOが成立する可能性が高くなります。
この判断は非常に繊細で、選手のスピードやボールの位置、さらにはピッチの状況までも加味されることがあります。審判は一瞬でその可能性を見抜かなければならないため、難易度の高い判定ポイントのひとつです。
ゴールとの距離
DOGSOを判定するもうひとつの重要な条件が「ゴールまでの距離」です。簡単に言えば、ファウルが行われた場所がゴールにどれくらい近いかがポイントになります。明らかに得点のチャンスと言える場面とは、当然ながらゴールに近い位置でのプレーが多くなります。
たとえば、ペナルティエリア内やそのすぐ外でのファウルであれば、ゴールとの距離が近いためDOGSOと判断されやすいです。一方、センターライン付近でのファウルであれば、どれだけ良い形であっても、まだゴールまでの距離があるとされてDOGSOにならないこともあります。
ただし、近ければ必ずDOGSOというわけでもありません。プレイヤーの位置、進行方向、守備者の位置など、他の条件も総合的に見て判断されます。ゴールまでの距離はあくまで「得点可能性の高さ」を測るひとつの要素として考えられているのです。
プレイの方向
「プレイの方向」もDOGSOを判断する上でとても大切なポイントです。ここでいう方向とは、攻撃側の選手がボールを持ってどの方向へ向かっていたか、特にゴール方向へ進んでいたかどうかを指します。
たとえば、選手がドリブルしているけれど横に流れていたり、ゴールとは反対方向に向かっている場合、たとえ他の条件がそろっていてもDOGSOと見なされないことがあります。これは、得点の機会が「明らか」とまでは言えないと判断されるからです。
逆に、ゴール正面に向かって一直線に進んでいる場合は、プレイの方向が明確にゴールを狙っているとされ、DOGSOが成立する要素となります。この判断は瞬時に下される必要があるため、審判の観察力と判断力が試される場面です。
この「方向」の要素があることで、DOGSOの判定はより現実的で妥当なものになります。全ての反則が即DOGSOになるわけではないという点も、サッカーのルールの面白いところです。
守備者の数
DOGSOが適用されるかどうかは「守備側の選手が何人いたか」も非常に大きなポイントになります。ここでの判断基準は、「ファウルされた選手とゴールの間に、守備側の選手がほとんどいない」または「一人しかいない」状況かどうかです。
一番よくあるケースは、最後のディフェンダーが相手選手を止めようとしてファウルを犯した場合です。このような状況では、もしファウルがなければキーパーと1対1の状況が生まれていた可能性が高く、DOGSOと判定されやすくなります。
逆に、ゴールの前にまだ複数の守備者がいた場合、その選手たちが得点を阻止できる可能性があると判断されればDOGSOにはならないこともあります。このように、守備者の人数と位置はDOGSOの判定に直結する重要な要素なのです。
4つの条件すべてが揃ったときに起こること
「ボールの支配可能性」「ゴールとの距離」「プレイの方向」「守備者の数」――この4つすべての条件が揃ったとき、DOGSOの成立が確定します。つまり、明らかに得点できそうな状況を、ルール違反で止めてしまったと判断されるのです。
この場合、反則をした選手には厳しいペナルティが科されます。通常はレッドカードによる退場処分、そしてペナルティエリア内であればPKも追加されます。これが「DOGSO=重大な反則」とされる理由です。
ただし、2016年のルール改正以降、守備選手が「ボールをプレーしようとして犯した反則」の場合、レッドカードではなくイエローカードになることもあります。これによって一部のDOGSO判定には柔軟性が加わりましたが、それでも4条件がすべて揃っている場合の反則は依然として重く扱われます。
この4条件はどれも主観的な要素を含むため、審判の判断次第で結果が大きく変わることもあります。観ている側としても、4つの条件を知っておくことでDOGSOかどうかを自分で考えながら観戦する楽しみが増しますよ。
三重罰とは?ペナルティエリア内で起きる厳しすぎる罰則
三重罰の内容を簡単に整理
「三重罰」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?これは、主にサッカーの試合でDOGSOがペナルティエリア内で起きた場合に、攻撃側に与えられる3つの大きな罰のことを指します。具体的には以下の3つです。
-
退場(レッドカード)
-
ペナルティキック(PK)の与与
-
次の試合の出場停止処分
つまり、ひとつの反則で選手が試合から追い出され、相手に大きなチャンス(PK)が与えられ、さらに次の試合にも出られなくなるのです。これが「三重罰」と呼ばれる理由です。
このルールは一見すると妥当なように見えますが、「同じ反則に対して罰が重すぎるのでは?」と長年議論の的になってきました。特にペナルティエリア内での軽微なファウルでもこれが適用されると、試合の流れが極端に変わってしまうこともあります。
そのため、後ほど解説するように2016年にFIFAはルールを見直しました。とはいえ、現在でも状況によっては三重罰が発生することがあり、選手や監督にとって非常に敏感なテーマとなっています。
なぜ「三重罰」が問題視されたのか
三重罰が長年問題視されてきた最大の理由は、「1つのプレーに対して罰が過剰すぎる」という点です。たとえば、守備側の選手がボールを奪おうとしてわずかに足を引っかけてしまい、相手が倒れてしまった場合でも、条件が揃っていればDOGSOと判定されてしまいます。
このとき、審判がレッドカードを出し、PKが与えられ、さらにその選手は次の試合に出場できません。これが三重罰の構造ですが、これでは試合が台無しになるだけでなく、選手にもチームにも大きなダメージを与えます。
実際、2010年代初めごろから「三重罰は試合を壊す要因になる」という意見が強まり、FIFAにも多くの改善要求が寄せられていました。また、選手側からも「故意ではないプレーでここまで厳しい処分は納得できない」という声があがり、国際的な問題として取り上げられるようになったのです。
このような背景から、FIFAは公平性やプレーの意図をより重視する方向でルールを見直すことになったのです。
FIFAによるルール改正の流れ
三重罰の議論が世界中で高まる中、FIFAは2016年に大きなルール変更を行いました。特にDOGSOがペナルティエリア内で発生した場合の扱いに関して、「意図的にファウルをしたのか」「ボールをプレーしようとしていたのか」を考慮するようになったのです。
この改正では、「ボールにプレーしようとした意志が明らかにあるファウル」に関しては、レッドカードではなくイエローカードとし、三重罰を回避する道を開きました。これは、守備選手が一生懸命プレーしていたことを考慮した、非常に画期的な変更でした。
この改正によって、故意に手を使う、ユニフォームを引っ張る、相手の体を押さえるといった意図的な妨害は引き続きレッドカードの対象となりますが、スライディングやチャージなど、ボールを奪おうとした正当な努力によるファウルには、比較的寛容な判断がされるようになりました。
このように、FIFAは選手のプレー意図や試合の公平性をより深く考慮する方向でルールの見直しを進めています。
三重罰が適用される具体的なケース
現在でも三重罰が適用されることはあります。たとえば、守備側の選手が意図的に相手のユニフォームを引っ張って転倒させた場合や、明らかにボールではなく相手の体を狙ったファウルをした場合です。これらは、ボールにプレーしようとする意思が見られず、「得点機会を不当に妨害した」としてレッドカードが出されます。
さらに、ゴールキーパーがペナルティエリア外で手を使ってシュートを止めた場合なども、DOGSOと判断され、三重罰となる可能性が高いです。これも「意図的なハンド」と見なされるため、厳しい処分となります。
一方で、スライディングタックルなどで相手の足にわずかに触れてしまい、それがDOGSOの条件に当てはまる場合でも、ボールをプレーしようとしていたと認められれば、イエローカードで済むこともあります。
つまり、三重罰になるかどうかは「故意性」が大きなカギを握っているのです。この違いをしっかり理解しておくことは、選手にとっても観戦者にとっても重要なポイントです。
現在のルールではどう変わったのか?
2016年の改正以降、DOGSOによる三重罰の運用は大きく変化しました。現在では、ペナルティエリア内でのファウルがすべてレッドカードになるわけではありません。ポイントは「その選手がボールをプレーしようとしていたかどうか」です。
もしボールを奪いにいく中で起きたファウルであれば、たとえDOGSOの条件が揃っていても、イエローカードとPKで済むケースがあります。逆に、意図的な妨害(手を使う、ユニフォームを引っ張る、ラフなタックルなど)は、変わらずレッドカードが出されます。
この変更によって、守備側の選手も過度なリスクを避けながらプレーできるようになり、ゲームのバランスが保たれやすくなりました。また、審判の裁量も広がり、「状況を見て判断する」柔軟性が与えられています。
このルール改正は、サッカーの試合運営をよりフェアで合理的なものにする一歩となりました。三重罰が完全になくなったわけではありませんが、以前に比べて適用のハードルが明確化され、納得感のある試合展開が増えています。
DOGSOの最新ルールと判定のグレーゾーン
2016年以降のDOGSOルール変更点
2016年、FIFAはDOGSOに関するルールに大きな改正を加えました。それまでのDOGSOは、得点機会を阻止する反則が起きた場合、基本的にレッドカードとPK、さらには次節出場停止という“三重罰”がセットで適用されていました。
しかし、この運用が「重すぎる」との声が世界中から上がったのです。特に、ボールをプレーしようとした上での接触でもレッドカードとなるのは、選手にとってあまりに過酷でした。
そこでルール改正では、次のような変更が行われました。
-
ペナルティエリア内でのDOGSOであっても、「ボールをプレーしようとした意図」が明らかにある場合は、レッドカードではなくイエローカードで処理される。
-
故意の妨害(引っ張り・押す・手で止める等)の場合は、これまで通りレッドカード。
このルール変更は、守備選手にとっては大きな安心材料となり、同時に試合の流れを不必要に壊さないための施策として評価されています。ただし、「プレーしようとした意図」の解釈は審判に委ねられるため、新たな議論も生まれました。
「ボールにプレーしようとしたか」の基準とは?
現在のDOGSOルールでは、「その選手がボールにプレーしようとしたか」が大きな判断材料になりますが、この“プレーの意図”をどう判断するかは非常に難しい問題です。これは一概に数値化できるものではなく、あくまでプレーの流れ、選手の体勢、目線、動き方などを総合的に見て、審判が判断する必要があります。
例えば、相手選手がゴールに向かってドリブルしている場面で、守備選手がスライディングタックルを仕掛けた場合、その動作が「ボールを奪おうとしていた」と見なされればイエローカード。しかし、スライディングが明らかにボールではなく相手の足を狙っていた場合はレッドカードとなります。
この「意図」の判断には、選手のプレー経験や状況把握能力が大きく関係し、また審判の主観も大きく影響します。だからこそ、同じようなプレーでも審判によって判断が分かれることがあり、試合後に物議をかもすことも少なくありません。
審判によって分かれる判断の例
DOGSOは、4つの条件に加えて「意図」の判断が絡むため、どうしても審判によって判断が割れるケースが出てきます。たとえば、ある試合では同じようなファウルでレッドカードが出たのに、別の試合ではイエローカードだけで済んだ、ということが現実に起きています。
実際にあった例としては、ある試合でDFがスライディングタックルを行い、相手選手に軽く触れた場面がありました。ある審判は「ボールに行こうとしていた」と見てイエローカードにした一方、別の審判は「得点機会を潰した」としてレッドカードを出しました。
このような違いは、選手や監督にとって大きなストレスになりますし、サポーターにも混乱を与えます。VARの導入によって判定の精度は上がったものの、最終的には「そのプレーの意図をどう読むか」という主観が大きな鍵となります。
このグレーゾーンがあることで、DOGSOはサッカーの中でも特にデリケートなルールとして知られています。
VAR導入によるDOGSO判定の変化
VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)の導入により、DOGSOの判定にも大きな変化が現れました。以前は一瞬の判断でレッドカードを出さざるを得なかった審判も、現在ではVARを使ってプレーを見直し、より正確な判断を下すことができるようになっています。
特にDOGSOのように、「意図」や「状況」が複雑に絡み合うプレーでは、VARの存在が非常に心強いツールになります。スロー再生で選手の動きやファウルのタイミングを確認し、「本当に明らかな得点機会だったか」「ファウルが故意だったか」などを精密に判断できます。
ただし、VARにも限界があります。映像だけでは選手の“意図”までは完全には分かりませんし、審判が映像をどう解釈するかで、判定はやはり分かれることもあります。また、VARのチェックで試合が長時間止まってしまうという問題もあり、スムーズな進行とのバランスが求められています。
とはいえ、DOGSOのような重い判定が必要な場面において、VARは確実に公平性を高めてくれる存在です。
プロ選手が語るDOGSOの難しさ
プロの選手たちにとっても、DOGSOというルールは非常にセンシティブな問題です。守備を担当する選手は、常に「得点機会を潰してしまわないか」「無意識のファウルで退場にならないか」という不安と隣り合わせでプレーしています。
実際、Jリーグや海外のトップリーグでプレーする選手たちのインタビューでは、「DOGSOを意識しすぎて守備が消極的になってしまうこともある」といった声がよく聞かれます。特にペナルティエリア内では、少しのミスが試合を決定づけるため、守備側は非常に神経を使っているのです。
また、攻撃側の選手もDOGSOのルールを熟知しており、うまくファウルを誘うようなプレーをする場面もあります。この“駆け引き”もプロレベルでは当たり前で、DOGSOをめぐる攻防は、戦術的にも心理的にも非常に深いものになっています。
DOGSOのルールは、選手にとっても「避けたいが避けられない」存在。だからこそ、フェアで明確な運用が望まれています。
DOGSOを正しく理解してサッカー観戦をもっと楽しく!
DOGSOを知ると観戦が10倍楽しくなる理由
サッカーを観るのがもっと面白くなるコツのひとつは、ルールを深く知ること。中でも「DOGSO(明らかな得点機会の阻止)」のルールを知っておくと、試合の重要な場面で「今のはDOGSOかも?」と推理しながら楽しめるようになります。
たとえば、ゴール前で相手選手が倒された瞬間、ただ「ファウルだ!」と叫ぶだけでなく、「あの場面、DOGSOの4条件がそろってたかも」「審判は意図をどう見たんだろう」と考えると、観戦の目線がまるで変わってきます。試合に対する理解度が深まり、まるで審判や監督の視点に立ったかのような感覚で試合を楽しめるのです。
また、実況や解説で「これはDOGSOですね」と言われたときにも、自分でその理由がわかると、聞き流すだけでなく納得して楽しめます。こうした知識は友人との会話やSNSでの発信にも役立ち、サッカー談義がぐっと深まります。
サッカーは単なるスポーツではなく、「頭脳戦」でもあります。DOGSOのようなルールを知っておくことは、観る楽しさを何倍にも膨らませる“秘密のスパイス”なのです。
誤解されやすいDOGSOのパターン
DOGSOはその名前の通り「明らかな得点機会の阻止」ですが、実際には観ている人が誤解しやすいケースもたくさんあります。特によくあるのが、「ファウルが起きたからDOGSO」と思い込んでしまうケース。実際はDOGSOには4つの条件(ボールの支配可能性、ゴールとの距離、プレーの方向、守備者の数)がすべて揃わなければなりません。
たとえば、センターライン近くでのファウルや、ゴールとは逆方向に進んでいる選手への接触は、一見危険に見えてもDOGSOとはならない場合があります。また、守備選手が2人以上ゴール前に残っていた場合も、決定的とは言えずDOGSOが適用されないことが多いです。
さらに、スライディングなどで相手の足に軽く当たった場合でも、ボールを取りに行こうとする意図が見えればイエローカードにとどまることがあります。こういった“グレーな”判定を誤解してしまうと、審判の判定が「不公平」に見えてしまうこともあります。
DOGSOは非常に繊細で、すぐに「レッドだ!」とはならないルールです。知識を持っておくことで、自分の中で正確な理解ができるようになり、試合の見え方が大きく変わってきます。
審判の立場から見たDOGSOの重さ
DOGSOの判定は、審判にとって最もプレッシャーのかかる判断のひとつです。なぜなら、たった一つの笛が試合を大きく左右し、しかもその判定は世界中の目に晒されることになるからです。特にレッドカードを伴うDOGSOの判定は、選手、監督、ファン、メディアからの注目を一気に集めてしまいます。
DOGSOの判定には、瞬時に状況を分析する能力が求められます。「得点機会だったか?」「守備者は他にいたか?」「プレーの方向は?」「ボールは支配できそうだったか?」を一瞬で見極めなければなりません。さらに、ボールにプレーしようとしたかどうかまで判断しないと、イエローかレッドかが変わってくるのです。
また、現代の試合ではVAR(ビデオアシスタントレフェリー)があるとはいえ、最終判断を下すのは主審本人。VARを確認しても、微妙なケースでは審判の感覚や経験に頼る部分が大きく残されています。
つまり、DOGSOの判定は審判の“技術力”と“精神力”が試される重要な場面なのです。この視点を知っておくと、試合中に出されるカードの意味や重みを、より深く感じることができるでしょう。
サッカー好きなら知っておくべきルールの1つ
DOGSOは、試合の流れを一気に変えてしまう可能性を持つ重要なルールです。だからこそ、サッカーを深く知りたいと思うなら、ぜひ知っておきたいルールのひとつです。単なるファウルとの違いや、どういった条件が揃った時に適用されるのかを理解するだけで、試合の見方が格段にレベルアップします。
また、DOGSOの存在は「サッカーがフェアなスポーツである」ことを示すものでもあります。わざと相手のチャンスを潰すようなプレーを許さない仕組みがあるからこそ、選手たちは正々堂々とプレーできるのです。
このルールを知っていれば、「あれ?今のはDOGSOじゃないの?」といった疑問を持ったときにも、自分なりに判断ができるようになります。そしてその判断が、仲間やSNSでの会話をより楽しく、深いものにしてくれます。
サッカー観戦をもっと楽しみたい、選手の立場を理解したい、ルールを語れるようになりたい――そんな人にとって、DOGSOはまさに“知るべきルール”の代表格と言えるでしょう。
まとめ:DOGSOと三重罰は“知るほど奥が深い”
DOGSOと三重罰。この2つのルールは、サッカーの試合で最も緊迫する瞬間に関係する、非常に重要なルールです。一見すると「ただのファウルのルールでしょ?」と思われがちですが、実際には多くの判断材料と状況判断が求められ、観ている側の理解度によってまったく違った風に見えてきます。
DOGSOの4条件を理解することで、レッドカードが出る理由や、逆に出なかった理由も納得しやすくなります。また、三重罰の背景や現在の運用を知ることで、「なぜあの選手が退場になったのか」が腑に落ちるようになります。
そして何よりも、DOGSOのような細かいルールを知っておくことで、サッカー観戦がもっと深く、もっと楽しくなります。ゴールシーンだけではなく、ファウルの裏にあるドラマや駆け引きにも注目できるようになるのです。
ルールはただの縛りではなく、スポーツをフェアに、そして面白くするための知恵の結晶です。DOGSOと三重罰は、その代表とも言える存在。サッカー好きなら、ぜひ知っておきたい“奥深い世界”です。
まとめ
DOGSO(明らかな得点機会の阻止)は、サッカーの中でも最も試合に影響を与えるルールの一つです。単なるファウルとは異なり、得点のチャンスを不正に潰す行為として、重い処分が科されます。
その判断基準には「ボールの支配可能性」「ゴールとの距離」「プレーの方向」「守備者の数」という4つの条件が必要であり、これらがすべて揃った場合にDOGSOが成立します。また、ペナルティエリア内でのDOGSOでは「三重罰」と呼ばれるレッドカード・PK・次節出場停止の3つのペナルティが科されることもありました。
しかし2016年以降、FIFAはこのルールを見直し、「ボールをプレーしようとしたかどうか」を考慮し、意図的な反則とそうでない反則を区別するようになりました。これにより、DOGSOの運用はより柔軟になり、公平性が保たれるようになっています。
審判にとってもDOGSOは非常に難しい判断が求められるルールであり、VARの導入によってサポートは増えたものの、最終的な判断には人間の目と経験が必要とされています。
DOGSOのルールを知ることで、サッカー観戦の見方が一気に深くなり、試合中の重要な判断の裏側を理解できるようになります。ぜひこの記事で得た知識を活かして、今後の試合観戦をもっと楽しんでください!